こころの詩

    若い頃からの友である、土佐出身の詩人にしうちさとしさんの詩を、敬意をもって紹介します。ともに味わいたく思います。

  弁護士でもあるにしうちさとしさんは、「宇宙の雫」、「ひまわり」、「ねえ おかあさん」、「たびだち」という詩集を遊人工房からだしておられます。

  会ってお話をうかがうたびに、生きることについての真摯さ、こころ優しさにうたれます。

 

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短歌集

 第1期 

  1

   2

         3

     4

         5

    6

     7

    

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    第2期

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 落葉                                                                                             

   木枯に

     欅の葉が

   散りました

 

     ほとんどは

   母なる樹の

   根元に散り敷き

   春の芽生えの

   養分となりました

 

   何枚かは

    林の奥に   

   運ばれ

   冬籠りの虫達の

   おふとんになりました

 

   何枚かは

   川の流れに

   運ばれ

     海に着いて

     プランクトンの

   糧になりました

 

   一枚は

   隣の家の

   庭に落ち

   少女に拾われて

   教科書の

   栞になりました

 

   欅の葉

   一枚一枚にも

   それぞれ

   さまざまな

     運命があり

   大いなる

   いのちの循環のなかで

   それぞれが

   それなりに

     全て

   意義があります

 

   私達

   ひとりひとりの

   人生も

     それぞれが

   それなりに

     全て

   意義があります

 

   だのになぜ

   人だけが

   幸せな人生

   不幸な人生などと

   自ら評価し

   自ら苦しむのでしょうか

 

  ねがい

 一 往く春の雨に

   なりたい

   俯いて

   遠ざかる

   あなたの肩を

   そっと

   そっと優しく

   たたきたい

 二 初夏の風に

   なりたい

   しょんぼりと

   立ちつくす

   あなたの髪を

   軽く

   軽く静かに

   揺らしたい

 三 初秋の海に

   なりたい

   夢破れ

   閉じかけた

   あなたの胸に

   静かに

   静かに波を届けたい

 四 冬の夜の星に

   なりたい

   滲んでは

   頬つたう

   あなたの涙

   澄んだ

   澄んだ光を

   宿したい 

 

    (ことし20168月に、お手渡しいただいた詩です。

     この詩に、大竹くみさんが曲をつけたものが、CDとなりました。「ねがい 大竹くみ作品集」EXTON OVCL00649です

 

   いただきもの

 

     父からは

     ほほえみを

    母からは

      いつくしみを

      もらった

      祖父からは

      矜持を

      祖母からは

      忍耐をもらった

      故郷の空からは

      自由を

      海からは

      おおらかさをもらった

 

      私も

      いつか

      だれかに

      なにか

      あげられればいいな

      生きてゆく

      ちからになるものを

 

  

 

  さくら

 

  ことしもまた

  さくらがさいた

  じっと

  みつめているうちに

  ほっと

  かたのちからがぬけた

  そらってこんなに

  あおかったんだとおもった

  さくらはいいな

  ほんとにいいな

  ながい

  じんせいのうち

  いちどでいいから

  さくらのように

  ひとを

  ほっと

  できたらいいな

 

    (なんねんもまえにメールでいただいた詩です。2011年は震災で花を愛でる余裕もありませんでした。たしかにわが家の庭の山桜も素朴な花をつけたのでしたが

 

 

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